それから数ヶ月が経った。直人と菜々子は、東京での生活の中でも時間を見つけては一緒に過ごしていた。仕事が忙しい中でも、二人で行った沖縄旅行の思い出が心の支えとなり、毎日の生活に彩りを与えていた。
ある日、二人は再び沖縄を訪れることを決めた。東京での日常を一旦離れて、もう一度あの地で特別な時間を過ごしたいという気持ちが強くなったのだ。
再び那覇空港に降り立った二人は、初めて会った座喜味城跡を再訪することにした。あの場所が、二人の関係の始まりだった。そして、今回はその続きとして、もう一度同じ場所に足を運びたいと思ったのだ。
「ここだね、僕たちが最初に会った場所。」
直人が言うと、菜々子は嬉しそうに頷いた。
「本当に懐かしい。まるで昨日のことのように覚えてるよ。」
菜々子は穏やかな笑顔を見せながら、石垣の上から広がる景色を眺めた。
丘の上から見渡す景色は、初めて訪れた時と変わらず、美しく広がっていた。青い空と澄んだ海、その向こうに続く緑豊かな山々が広がる。風は心地よく、二人の頬を撫でていた。
「こうしてまたここに来られたことが、本当に嬉しいよ。僕たちの物語は、ここから始まったんだね。」
直人は感慨深く言った。
「そうだね。まさか、あの日がこんなに大切な日になるなんて、想像もしてなかったけど……出会えて本当によかった。」
菜々子はそう言いながら、直人の手をしっかりと握った。
二人はしばらくの間、言葉を交わさずに景色を楽しんだ。心の中にある感謝の気持ちと、これからの未来への期待が、二人の間に静かに流れていた。
「これからも、僕たちの物語は続いていくんだね。」
直人が呟くように言うと、菜々子もまた、頷いた。
「うん、これからも一緒に歩んでいこう。どんな未来が待っていても、直人さんとなら乗り越えられるって思う。」
二人は手を取り合い、再び始まる新しい旅への一歩を踏み出した。沖縄の風が二人の背中を優しく押し、広がる海のように果てしない未来が二人を待っていた。
コメント