翌朝、直人は南城市へ向かうために早めにホテルを出発した。彼はレンタカーで斎場御嶽に向かい、車窓から広がる緑豊かな景色を眺めながら心を落ち着けていた。到着すると、駐車場から少し歩いた場所に、その荘厳な雰囲気が漂う聖地が現れた。森に囲まれた参道を進むと、鳥のさえずりと共に風の音が耳に届き、都会の喧騒とは全く異なる静寂がそこにあった。
「ここが斎場御嶽か……」
直人は神聖な雰囲気に圧倒されながら、ゆっくりと足を進めた。大きな石の門が立ちはだかり、その先には古代から続く祈りの場所が広がっていた。琉球の信仰と歴史が交差するこの場所で、彼は何かしらの不思議な感覚に包まれた。
「やっぱり、来てよかったな……」
そう思っていたその時、再び彼女が現れた。
「また、会いましたね。」
驚いて振り向くと、そこには再び石垣菜々子の姿があった。驚きと共に、直人の心に嬉しさが込み上げた。
「菜々子さん、また会えるなんて思ってもみなかった。」
「私もびっくりしました。もしかして、斎場御嶽に来るって言ってたから?」
「そう、君のおすすめだから来たんだ。」
二人は再び笑顔を交わし、静かに歩き始めた。斎場御嶽の静寂と神秘的な雰囲気の中で、二人の距離はさらに縮まっていった。菜々子は歴史や文化に詳しく、沖縄に関する話題が次々と出てきた。直人はそんな彼女の知識と感性に惹かれていく自分に気づき始めていた。
「沖縄って本当に奥が深いですね。観光地だけじゃなくて、こういった歴史や信仰の場所もたくさんあって。」
「そうですね。私も何度も沖縄に来てるけど、来るたびに新しい発見があります。」
二人は自然と話が弾み、まるで昔からの友人のように打ち解けていった。直人は菜々子のことをもっと知りたいと思うようになり、彼女もまた、直人に対して親しみを感じている様子だった。
「また、どこかで会えるかな?」
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